体調を崩して休職した時などによく思っていたことがあります。
「この苦しみは健康な人には分からない。真面目にやっている自分が、なぜこんな想いをしないといけないのか。なぜ自分ばかりがこんな苦しい目に合わなければならないのか。この世に自分が存在する意味っていうのはそんなにないんじゃないか」
私は長い間、このように思い続けていたのです。このような考え方をしているときは本当に苦しかったですが、心からそう思っていました。そのような考え方をしているときには、泥沼にはまったようで、一向に前に進むことができませんでした。
最近になってようやく分かったのは、「苦しいのは自分だけではなかった」ということです。自分は確かに苦しかった。病気を受け入れて、うまく病気と付き合える状態に自分をもっていくのにもすごく時間がかかった。
しかし、妻にはさんざん迷惑をかけました。両親にもひどい事を言ったこともありました。近くで見ていた我が子も、子どもながらにつらい想いをしていたと思います。
私だけが苦しいのではなく、私のそばにいたみんなも苦しかった。
自分ばかりが苦しいと独りよがりになっていた私が、そのことに気づくのにはもの凄く時間がかかりました。ですが、私が立ち直るまで、みんな私のそばにいてくれました。みんなに助けてもらって今の自分がいる。
「人間はひとりでは生きられない」という言葉を、子供のころから知っていたはずなのに、その本当の意味を理解できたのは、情けないことに、私の場合はつい最近です。