私が双極性障害という病気、そしてその治療についての学びにおいて、参考になった本を紹介してみようと思います。
今回は、水島広子先生の『対人関係療法でなおす 双極性障害』という本を紹介します。
私は、現在の主治医に双極性障害Ⅱ型だということを教えてもらいました。主治医から病気について、また生活の上で気を付けること、例えば夜勤をしない方がいいとか無理をしない方がいいなどの簡単な説明は受けるのですが、正直それだけではよく分かりませんでした。
病気とどう付き合っていけば良いか、どんな生活を送れば良いかがイメージできませんでした。
本やネットで病気について自分なりに調べていることを主治医に話すと、「そんなの知れば知る程不安になるし、あなたにとって良くないから調べない方がいい」と言われてきました。
ですが、私はそれでは納得いきませんでした。やはり自分の病気の事を知り、どう付き合っていけば良いか学ばないといけないと思いました。
この本は、双極性障害の治療の中の「対人関係・社会リズム療法」にスポットを当てています。
双極性障害が再発する背景として、「決められた通りに内服しない」「ストレスの多い出来事」「社会リズムの乱れ」の3つがあることをまず理解していなければなりません。
主治医から薬が処方されている限り正しく内服することは当然のことだと思います。
しかし、双極性障害は薬を正しく内服するだけではコントロールが難しい病気だということを私は自分の経験から強く感じています。
私は対人関係・社会リズム療法を実際に受けたことはありません。しかし、薬を正しく内服すること以外で、病気をコントロールしするために自分でできる事が多くあることをこの本から学びました。
対人関係・社会リズム療法は、社会リズムを規則正しくすることと、対人関係のストレスを減らし、社会的な役割の変化に適応しやすくすることを組み合わせた治療だそうです。
過度のストレスや生活上のトラブルなどが病気の再発のきっかけにもなるし、そのような精神的なダメージから社会リズムが乱れて再発リスクが増すとのこと。
この本を読んで、双極性障害が対人関係に大きな影響を与えることが良く分かりました。私も軽躁やうつとなり、対人関係が上手くいかなくなった経験をしています。しかし、私の人間的な未熟さもあったと思うのですが、病気も大きく影響していることが分かりました。崩れてしまった関係を修復することはできないかもしれませんが、今後、病気の特徴を踏まえて、私がどのように人と関わっていけば良いかが理解できました。
また、日常生活のリズムを整えて、過度の刺激を防いでいかなければならないことも分かりました。そのためには、起床時間や食事の時間、睡眠時間などをできるだけ一定にしていくこと、日常生活において何がどの程度の刺激を自分に与えているのかを分析してみることが重要だということ。
さらに、活動の量と刺激のバランスを知ること。日常の活動が気分にどのような影響を与えているかを分析してみること。活動量が少なすぎるとうつになるし、活動量が多すぎると躁になってしまう。自分自身でそのバランスを取りながら生活をしていかなければならない。活動量と刺激について自分で決めたルールは守ること。「このくらいならいいじゃん」というような妥協はしてはならないこと。
水島先生は、この本の中で次のように語られています。「健康な自分」は死んだかもしれないけれど、決して自分自身が死んだわけではない。また、社会リズムを崩さない範囲であれば、双極性障害を持っていても十分家族を守れる。私はとても勇気づけられました。
薬の処方は医師に任せるしかありませんが、この本から病気をコントロールするために自分でもできる事はたくさんあることが分かりました。