双極性障害の人は一般的に、人に共感する能力が高く、人の気持ちを察することが得意であり、また社交性があるという話を聞いたことがある。
この話を聞いた時に、違和感なく私も同じだと感じた。
子どもの頃から私はそういう性格だと思って生きて来た。とにかく人の気持ちに敏感だった。今あの人悩んでるんじゃないかなとか、困ってるんじゃないかな、などと思ったら、声をかけるタイプだった。昔からそうだったし、今も変わらない。
そして、社交性があるということに関しても、できるだけ場の雰囲気を良くしたいというサービス精神があるタイプである。
この能力は、素晴らしい能力だと昔から感じていたし、看護師となってからもすごく役に立つと感じていた。
患者さんやそのご家族の想いを察したり、その想いを傾聴する能力は、看護師はとても重要だと思う。私には、それが自然にできることだった。患者さんやご家族と話をする中で、入院生活の中で普段言えないような事を私に話してくれる方も多くおられたし、その日の担当看護師が私だと喜んでくださる方も多くおられた。
時には、患者さんやご家族と一緒に涙を流した。
患者家族だけではなく、同僚が忙しそうだなと感じたら、声掛けして何か手伝えることはないかと考え、自分の仕事を調整しながら同僚の手伝いをしようとした。常に100%であり続けようとしていた。
それは看護師としては、自分はそういった能力に長けているというのは、他者よりも優れた自分の長所だと感じていた。その能力を惜しみなく発揮しようとしていたし、同僚からも評価を得ていた。
それはそれでいい事なのだが、度が過ぎると・・・、非常に心的エネルギーを消耗してしまうのだ。
相手の想いを共感したり気持ちを察することは良い事なのだが、それをし過ぎると、相手に引きずられるというか、気持ちが入り過ぎてしまって、本当に自分がどうにかしてあげなくてはならないと感じてしまうのだ。
仕事が終わっても、その事が頭から離れなかったりすることが私の場合は度々あった。当時の私は、自分の事より他者の事を大事にしようとしていたと言っても過言ではないような状態だった。それが正解だとも思っていた。
しかし、私は心的エネルギーの消耗をし過ぎ、結果として心と身体を思うように動かせなくなり何度も倒れてしまうこととなった。
共感力が高く、人の気持ちを察し、社交性があるという能力は大切だ。ただ、自分自身も大切にせねばならないという事も考えなくてはならなかった。
他者も大事にするが、自分自身も大事にする。要は、そのバランス保つことが重要なのだ。そのためには、人との距離を適度に保ち、感情も入れ過ぎないように注意する必要があると思う。
心的エネルギーの消耗により、働けなくなっては元も子もない。大切なのは、私の能力を常に、できるだけ一定にして発揮し続けなくてはならない。
それができて初めて、他者を大切にし、自分も大切にすることができたと言えるのではないかと思う。
双極性障害の人は素晴らしい能力を持っている。それを遺憾なく発揮し続けようではないか!!